雪結晶のすばらしさが堪能できる おすすめ度 ★★★★★
雪の結晶、それは空から舞い降りる妖精、あるいは星たち、深遠なる雪片の美。
それを探究するのは、実際的応用を目指すものではなく、科学的好奇心からだという。
星状の雪結晶は六つの枝を持つ枝状の氷。模様の種類は無限にある。雪結晶ははかない芸術作品。地面に落ちると、時には数秒で形が崩れる。それをいちはやく撮影しなければならない。
水蒸気が空気中で昇華凝結、つまり液体の状態を介さないで、一気に凍って固体になる時、できるものである。
芸術家がいかにすばらしいものを想像しようと、真実の驚異にまさるものはない(リチャード・ファインマン)
空から降る雪のフィールド・ガイド、その多様性…星状六花・扇形・中空角状・鼓型・六花・十二花・二重星・四重奏・シャンデリア結晶などじつにさまざま。
日本の物理学者中谷宇吉郎は、雪結晶について初めて詳細かつ体系的な研究を行った。世界で初めて人工の雪結晶を作ることに成功。実験室でウサギの毛の上で成長させた。本書、アメリカ人によって原著であるが、このように日本人を高く評価してくれていることはうれしい。
胸躍るような美しい雪結晶のさまざまな写真を満載した本書は、手元に置いて鑑賞するに値する。世俗の些事を忘れて、自然の織りなす巧まざる美に浸るひとときは至福の刻である。
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